音で返すのが面白い、、、、( 10代 / 男性 )
― 東京都 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、ある町にえらくケチな男が住んでおったと。
飯を食うにも梅干をじいっと見て、酸っぱいつばがわいてきたら、いそいでご飯をかきこむ、というぐあいだったと。
ところが、毎日毎日、梅干ばかり見ているもんだから、そろそろ飽きがきて、たまには変わったもんで飯が食いたくなったと。
あるとき、何ぞいいもんはないかと町を歩いていると、向こうからぷーんと香ばしい匂いがして来た。うなぎ屋が店先で蒲焼き(かばやき)を焼いておったと。
男は、急いで家に戻ると、どんぶり飯と箸(はし)とを持って、うなぎ屋にとって返し、その店先で、くんくん匂いをかぎながら飯を食い出したと。
これを見ていたうなぎ屋の主人が、
「そこのお客さま、お代をいただきやす」
と言うた。男は、
「わしは、うなぎなど食うておらんぞ。匂いをかいでおるだけじゃ」
と言うと、店の主人は、
「へえ、ですから、そのにおいのお代をいただきとうございやす」
と言うて、こちらもなかなか、たいしたケチぶりだ。
「よし、分かった。そこまで言われて払わなかったら、こちらの男がすたるというもの。払いましょう」
男はふところから財布(さいふ)を出したと。
店の主人が手を出すと、
「ほーれ、今から払うから、よーく聞けよ」
と、こう言うや、財布の中の小銭をかきまわして、
「チャリン、チャリン」
と、音をたてたと。そして、
「おやじ、においの代金は、音で払ったぞ」
こう言うたと。
おしまい チャンチャン。
音で返すのが面白い、、、、( 10代 / 男性 )
においをかいだだけで,お金を払ったのは,すごいとおもいました。( 10歳未満 / 女性 )
ケチにしても程がある( 10歳未満 / 女性 )
とんと昔があったけど。 あるところに正直な爺(じ)さと婆(ば)さがあって、その隣りに欲深爺(よくふかじい)と婆があったと。 ある正月元旦に、隣の爺が婆に、「婆、婆、おら妙な夢を見たや」…
「においの代金」のみんなの声
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