民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 草木の話・動物の由来にまつわる昔話
  3. 金貸しほととぎす

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

かねかしほととぎす
『金貸しほととぎす』

― 滋賀県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかし、むかし。
 あるところにお寺があって、和尚さんが一人で住まっていたって。
 この和尚さん、お寺の本堂を建てたいと思っていたけどお金が無かったって。
 和尚さん、どうにかしてお金を集めたいと考えたけど、いい思案が浮かばなかった。
 縁側(えんがわ)に座って思案していたら、そこへ、ほととぎすが飛んできた。目の前の木の枝に止まって、

 〽 庖丁(ほうちょう)欠けたか、
    ほうちょうかけたか

 と啼(な)いた。和尚さん、
 「ほととぎすめ、わしが刃の欠けた庖丁使うてるのを知ってるんじゃろか」
というてなげいていたが、そのうち、ハタと気がついた。

 
 「そうじゃ、おおい、そこのほととぎすどんやぁ。お前(め)は朝早うから働いてるから、お金がよっぽど貯まっとるじゃろうなぁ。
 わしゃ、本堂を建てたいと思うとるんじゃが、欠け庖丁を使うくらい貧乏(びんぼう)なのはお前も知っておろう。そこで相談じゃが、少し寄進(きしん)してくれんかのう」
 和尚さん、こう呼びかけたら、ほととぎすは、
 「調子いい」
と返事したと。
 「そんなら、貸してくれんかのう」
というたら、
 「ほんなら、六月まで貸してやろう」
というた。
 和尚さん、ほととぎすからお金を借りて本堂を建てたと。

 
 次の年の六月になった。けど、和尚さん相変わらず貧乏で、ほととぎすに返すお金が無いんだって。
 ほととぎすが飛んできて、縁側の前の木の枝に止まって、和尚さんを呼んだけど、和尚さん、ほととぎすにあわす顔が無くて、外に出られん。それで、今でもほととぎすは、

 〽 ホンドウタテタカー、本堂建てたかぁ
と啼いて、毎朝さいそくに来てるんだって。

 そうらいごんぼ。

「金貸しほととぎす」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

小三郎池のはなし(こさぶろういけのはなし)

むかし、むかし、さてむかし。ある村に、小三郎(こさぶろう)という木こりの若者がいたそうな。小三郎は木こりの親方の家におる、ちんまという飯炊(めした)…

この昔話を聴く

おしずとたぬき

戦国(せんごく)のころ、青海島(おうみしま)に漁師を父にもつ、おしずという八つになる気だてのやさしい娘がいた。ある日のこと、この島にきた一人のかりう…

この昔話を聴く

またぎの犬(またぎのえんこ)

昔、あったずおん。またぎ、白犬(しろえんこ)連れで山さ行ったど。えんこてば犬のこんだ。ずっと山奥さ入って行ったども、なんも獲物(えもの)無(ね)ぐて、山の中で暗ぐなってしまったど。

この昔話を聴く

現在886話掲載中!