民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 幸せな結婚にまつわる昔話
  3. モグラの嫁入り

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

もぐらのよめいり
『モグラの嫁入り』

― 滋賀県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 あったそうな。
 あるところに、モグラが一匹いたんだと。
 そいで、それが子供産んだら、とってもいい子が産まれたんだって。
 「こんないい子を、モグラんとこなんかに嫁にやっちゃあもったいない。日本一いいところへ嫁にやりたい」
 「そいじゃあ、お天とう様が一番偉いから、お天とう様に嫁にもらってもらいましょう」
 そいで、お天とう様のところへ行って頼んだって。

 「お天とう様、お天とう様。おれんとこでほんに器量(きりょう)もいい、利口な、いい子が生まれたので、嫁にもらってくらっしゃい」
 そしたら、お天とう様が、 

 「モグラどん、そう言ったって、雲が来ればおらを隠しちまって、おら照らせなくなっちまう。雲の方がおいらより偉いから、雲にもらってもらい」
 って言ったって。


 それで雲に、
 「雲どん、雲どん、ほんにいい子が生まれたから、嫁にもらってくらっしゃい」
 って言ったって。 
 そしたら雲が、
 「風が吹けば、おいらなん吹っ飛んじまうだから、おいらより風の方が偉いから、風にもらってもらい」
 それで風んとこいって
 「風どん、風どん、おいらの子嫁にもらってくらっしゃい」
 「う―ん、モグラどん、おいらがいくら吹いたって土手はびくともせん。土手どんの方が偉いから、土手どんにもらってもらい」
 こんどは、土手どん所へ行って、
 「土手どん、土手どん、おらの子いい子が出来たから嫁にもらってくらっしゃい。日本一偉い人んとこに嫁にもらわれたい」
 って言ったって。


 そしたら土手は、
 「そんなこと言ったって、モグラが居たんじゃみんな崩されちゃう。おらよりもモグラが偉い」
 て言ったって。
 そうか、日本一はモグラだったかって、そいで仲間のモグラんところへ嫁にやったそうな。


 そうらいごんぼ
 豆の花よごし。

「モグラの嫁入り」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

楽しい

ネズミの嫁入りというお話に似ているね( 10代 / 女性 )

楽しい

子供の頃に、似たような話を聞いた事があったような気がするが・・・ 民話や昔話には ほのぼのとした示唆が込められていて大好きです。  ( 70代 / 男性 )

楽しい

はじめて聞かせてもらいました。もぐらの嫁入り、地元の話ですが、知らなかったです。なるほど‥と感動しました。お話しの世界に入れる、ステキな時間をありがとうございました( 40代 / 女性 )

もっと表示する
楽しい

もぐらが1番えらいんだ❗( 10歳未満 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

とくぞすの使い(とくぞすのつかい)

むかし、むかし、日向の国、今の宮崎県日南市飫肥の報恩寺というお寺に、“とくぞす”という知恵者の小僧どんがおったっと。  ある日のこと、寺の和尚さんから、  「よい、とくぞす、お前すまんが、清武の庄屋どんかたまで使いに行ってくれ」 と、頼まれた。

この昔話を聴く

お正月様がやって来ん(おしょうがつさまがやってこん)

あんたさん、知っとられますか。昔は太陰太陽暦(たいいんたいようれき)っちゅうのを使っておりましてのう、つまり旧暦(きゅうれき)ですかのう。明治五年十…

この昔話を聴く

おれが大きい(おれがおおきい)

とんと昔もあったげな。あるところに、片方の羽を拡(ひろ)げると千里、もう片方の羽を拡げるとまた千里ある大きな鳥がいたと。われほど大きな生き物はあるま…

この昔話を聴く

現在886話掲載中!