吉四六さんのお話は「アハハ」と笑えるから大好きです( 50代 / 女性 )
― 大分県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
昔、豊後(ぶんご)の国、今の大分県大野郡野津町(おおのぐんのつまち)の野津市(のついち)
【現在は臼杵市野津町大字野津市(うすきしのつまちおおあざのついち)】
というところに、吉四六(きっちょむ)さんという面白い男がおった。
あるとき、吉四六さんが寄(よ)り合いで近所の家に行ったと。
長いこと話し合っていたので、小便をしたくなった。
「星を見ながらするっちゅうのもオツなもんじゃ」
外へ出ると、物置き小屋のそばに、お婆(ばあ)さんがおって、声をかけられた。
「そこにおるのは吉四六かのう。ちくと手伝うちくれんかや」
「ええとも、何じゃい」
「すまんがのう、ちくと尻をかかえちくだんせ」
「へ!?尻をか!?おれは前の方に用があるんじゃが…、ま、小便をする前に手伝うちやろかい」
「こっちじゃき、こっちへ来てくだんせ」
吉四六さんを物置きに手招(まね)きして、お婆さん、棚(たな)の壺(つぼ)を取ろうと梯子段(はしごだん)をのぼった。
「うーんしょ、少々重いぞな、しっかり尻(しり)をおさえててくだんせ」
「大丈夫じゃ、おさえちょる」
吉四六さんがいきんで答えたので、お婆さんは壺を持った手を放した。
そのとたん、ガッチャーンと壷は土間に落ちて割(わ)れ、ドブロクがとび散った。
お婆さんの怒(おこ)るまいことか。
「大丈夫、おさえた、ちゅうで手を放したらこげんこっちゃ。せっかく婆がみんなにふるまおうと思うちょったに……。 これ吉四六、お前、なし尻をおさえんじゃった」
「なに言うか、よう見ちくだんせ、尻は力いっぱいおさえちょろ」
お婆さんが、シワクチャ眼(まなこ)を細うにしてよおっく見ると、なんと吉四六さん、ウンウンいきんで真っ赤になって自分の尻をおさえておったと。
もしもし米ん団子(だんご)、早よう食わな冷ゆるど。
吉四六さんのお話は「アハハ」と笑えるから大好きです( 50代 / 女性 )
昔、あるところに、貧乏な爺さと婆さがおったと。年の暮れになれば、年とり米も年とり魚もかわねばならんので、爺さは毎年山へ行っては門松(かどまつ)を取って来て、それを町へ持って行って、売り歩いておったと。
「吉四六さん尻をかかえる」のみんなの声
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