ざまぁみろ、と思う( 10歳未満 / 女性 )
― 大分県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、あるところに、正直な木樵(きこり)がおって、毎日、山の中で木を伐(き)って暮らしておったそうな。
ある日、池の側の森で木を伐っていたら、あんまり力を入れてふりあげたので、つい手がすべって、斧(おの)が池の中へ落ちてしまったそうな。
「あやぁ、ひとつしかない大事な斧を落としてしもたぁ」
池は、まんまん水がたまり、底が深くて潜(もぐ)ることも出来んそうな。
「あれが無くては仕事が出来ん。どしたらええか」
池をのぞいて、ほとほと困っておったと。
そしたら、池の水がゴボゴボと渦(うず)巻いて、中から、真っ白いひげのお爺(じい)さんが出て来て、
「何を考えこんでおる」
と、たずねるのだと。
「は、はい、たったひとつの斧を落としてしまい、困っております」
ひげの爺さんが何者か考えもつかんで、聞かれるままに答えたそうな。
「もう少しで、わしに当たるところじゃった。悪気(わるぎ)があってやったのではなさそうじゃから、拾って来てやろう」
ひげの爺さんは、そう言って、水の中へ沈んで行き、間もなく、金の斧を持って出て来たそうな。そして、
「お前の落としたのは、これか」
と聞くのだと。
「いえいえ、おらのはそんな立派なんじゃない」
と、木樵が答えると、爺さんはまた水の中に沈んで行って、今度は銀の斧を持って来たそうな。
「それでは、お前の落としたのは、これか」
「いえいえ、おらのはそんな立派な斧じゃありません。ただの鉄の斧です」
お爺さんは、また水の中に沈んで行くと、今度は、鉄の斧を持って出て来たそうな。
「それでは、これか」
「は、はい。おらの落としたのはその斧です」
木樵は、何度もお礼を言って受け取ったと。
すると、ひげのお爺さんは、つくづく木樵をみて、
「お前は、本当に正直者だ。ほうびに、金の斧も、銀の斧もお前にやろう」
そう言って、二つとも木樵にくれたそうな。
木樵は、無くした斧を拾ってもらった上に、立派な金銀の斧までもらったので嬉しくてたまらない。黙っていられなくて、つい、隣の欲深爺(よくふかじい)に、このことを話してしまったと。
すると欲深爺は、ひとつ、わしももらって来よう、と、森に出掛けて行き、わざと斧を池の中に落としたと。
話に聞いていたとおりの、ひげのお爺さんが水の中から出て来て、「拾ってやろう」と水の中に沈み、間もなく、美しい金の斧を持って出て来たと。
「お前の落としたのは、これか」
と聞かれると、欲深爺は、とびつくように、
「うん、それだ」
と答えた。
すると、真っ白いひげのお爺さんは、
「お前のようなうそつきには、落とした斧もやらん」
と言って、そのまま水の中に沈んで、呼んでも叫んでも、もう、出て来てはくれなかったそうな。
おしまい、ちゃんちゃん。
ざまぁみろ、と思う( 10歳未満 / 女性 )
南蛮貿易時代にイソップ寓話が伝わっており、日本昔話化した例も数多くあります。 大分は当時、キリシタン大名である大友宗麟が治めてたので、宣教師が話し聞かせた可能性ある。( 50代 / 男性 )
これが大分の民話というのは正直な話ですか?嘘ですか?( 40代 / 男性 )
つまりアイソポス(イソップ)は大分県人だったということですな( 60代 / 男性 )
これは本当に大分の民話なんですか? 【イソップ物語】の《金の斧銀の斧》とストーリーが同じなのですが、本当に大分の民話なんでしょうか?( 40代 / 女性 )
持続化給付金を不正に受給している輩は、童話に出てくる 強欲木こりと同類ですね(笑)「金の斧と銀の斧」を 読んで、心を入れ替え健全な社会人になって下さいと 言いたいです。( 40代 / 男性 )
教訓は、嘘をついて誤魔化してはいけないということです。 ( 20代 / 男性 )
むかしむかし、日本に仁王という男がおって、力持ちでは日本一だったと。あるとき、仁王は八幡さまへ行って、「唐の国には、“どっこい”という名の力持ちがいるということだから、わしはそれと力競べしてくるべと思うとるが」と、お伺(うかが)いをたてたと。
むかし、越中(えっちゅう)の国、今の富山県にある村に横笛のたいそう上手な若者がおったと。 若者は炭焼きだった。山の中に小屋と窯(かま)を作り、そこに寝泊(ねと)まりしながら炭を焼くのだと。若者はなぐさみに夜毎(よごと)笛を吹(ふ)いていた。
「金の斧 銀の斧」のみんなの声
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