民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋 > 
  2. 頓知のきく人にまつわる昔話 > 
  3. オチンチン一升

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

おちんちんいっしょう
『オチンチン一升』

― 長崎県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかし、あるところに和尚さんがおったと。
 たいそうなけちん坊で、毎朝炊(た)く米も小僧さんにまかせないで、いちいち指図(さしず)していたと。
 お客さんがあるときは、指図している声が聞こえると外聞(がいぶん)が悪いというので、口でいいつける代わりに、指で合図(あいず)することに決めておいたと。
 指一本が一升(いっしょう)なんだと。
 けちぶりは、それだけでない。
 和尚さんは毎日、温かいご飯にうまいおかずで食事をするけども、小僧さんたちには、冷や飯に干し菜の汁ばかり食べさせていたと。
 小僧さんたちは、温かいご飯を腹いっぱい食べたいもんだと常々思っていたと。 

 
 ある冬の寒い朝。
 和尚さんが厠(かわや)で大声で呼ぶので、大急ぎで行ってみると、厠が凍っていて、氷に足をとられてあおむけにひっくり返っていた。
 小僧さんはこれを見ると、すぐに台所に引き返して、大勢(おおぜい)で米をといで大釜(おおがま)でご飯を炊き始めたと。
 しばらくして、和尚さんが腰をさすりながら台所へ来てみると、ご飯がたくさん炊きあがっとる。
 「お前たちは、いったい誰の言い付けで、こんなに飯を炊いたのか」
と怒鳴ったと。
 小僧たちはすまして、
 「和尚さんに呼ばれたので行ってみましたら、両手両足を広げちょらしたので、いつもの指図だと思ってその通りに炊きましたぁ」
と答えたと。


 和尚さんは、厠で転んどったのが恥ずかしくて、わざとむすっとして、
 「ど、どれだけ炊いたんじゃ」
 「はいぃ、二斗(にと)一升炊きましたぁ」
 「な、なんじゃぁ。そ、それにしてもだな、一升余計じゃあないか」
 「いえ和尚さまぁ、両手両足の指で二斗、それにオチンチンが出ておりましたので、それで一升」
 和尚さんは、どぎまぎして何ぁんも言えんかったと。

 小僧さんたちは、あつあつのご飯を腹いっぱい食べたと。 
 和尚さんも、それからは小僧さんたちに冷や飯を食わせなくなったと。

 ころばっかるばんねんどん。 

「オチンチン一升」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

楽しい

面白い話で、子供が必ず笑ってくれます笑( 20代 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

雉になった娘(きじになったむすめ)

昔々(むかしむかし)。一人の美しい娘持った婆(ばあ)さまあったけド。あるとき、村の殿(との)さまァお通りになって、ほの娘ば見染(みそ)め、「どうぞし…

この昔話を聴く

福は内 鬼は外(ふくはうち おにはそと)

 とんと昔の話じゃったそうな。  あるところに女の子が出来た。名前をお福(ふく)とつけた。村中(むらじゅう)でも誰(だれ)にも負けない器量好(きりょうよ)しだったと。

この昔話を聴く

利口と阿呆(りこうとあほう)

 とんと昔あったっつうわ。  昔、あるところに、家が隣(とな)りあってあったと。一軒(けん)の家は夫婦喧嘩(ふうふげんか)が絶(た)えない家で、もう一軒は夫婦喧嘩の無い家だったと。

この昔話を聴く

現在860話掲載中!