小僧さんがすごく賢いなと思いました( 10歳未満 / 女性 )
― 熊本県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、ある寺にとんち名人(めいじん)の一休さんという小僧(こぞう)さんがおった。
この一休さんには、物識(ものし)り和尚(おしょう)さんもたじたじさせられておったと。
「一遍(いっぺん)でもええから、一休をへこませてやりたいもんじゃ」
つねづねそう思っていた和尚さん、ある晩(ばん)いい考(かんが)えが浮(う)かんだ。
「ちょっと子供(こども)じみているが、なに、かまうもんか」
そこで一休さんを呼(よ)びつけ、
「これ一休や、わしはうっかりして本堂(ほんどう)のローソクを消(け)すのを忘(わす)れてしもうた。火を出しては仏様(ほとけさま)に申(もう)し訳(わけ)たたん。すまんが消してきておくれ」
と、頼(たの)んだと。一休さん、
「はい」
と、元気(げんき)よく返事(へんじ)して大急(おおいそ)ぎで本堂へ行った。
ところが、その日に限(かぎ)ってローソクの台(だい)が高(たこ)うなっていて、手が届(とど)かん。経台(きょうだい)に乗ってはバチがあたるし、他(ほか)にええ方法(ほうほう)も思いつかん。さすがに困(こま)ってしもうて、しょうがないから飛び上がって息(いき)で吹(ふ)き消したそうな。
部屋(へや)へ戻って来た一休さんを見て、和尚さんは、
「おおご苦労(くろう)じゃったな。じゃが、あんな高い所(ところ)の火をどうやって消したんかのう」
と訊くと、一休さん、
「はい、飛び上がって吹き消しました」
と答(こた)えよった。これこそ、和尚さんが予想(よそう)した返事だ。心の中でニヤリとした。
「この馬鹿者(ばかもん)!仏様に息を吹きかけるとは失礼(しつれい)な。もう二度(にど)とするでないぞ」
初めて一休さんを叱(しか)った和尚さん、してやったりと得意顔(とくいがお)だったと。
さて次の日。
本堂でお経(きょう)をあげていると、なんとのう後ろの様子(ようす)が変(へん)だ。ふいっと振(ふ)り返ってみると、なんと、一休さんがお尻(しり)を向けて座(すわ)っておる。
「いくらとんち上手(じょうず)でも子供じゃのう。昨日叱られたもんで、すねとるわいな。小僧というのは、ときどきこうでなくてはつまらん。よしよし、今日も朝から一休を叱ることが出来るわい」
和尚さん、一人合点(がってん)して、おもおもしく、
「これ一休、お経をあげるときは仏様の方を向かんか。行儀(ぎょうぎ)が悪いぞ」
と叱りつけたと。そしたら一休さん、しれっとした顔で、こう言うた。
「和尚さま、仏様の方を向いてお経をあげては息がかかります。それでは仏様に失礼になりまする」
いやはや和尚さん、また一本取られてしもうたと。
そればっかりの ばくりゅうどん。
小僧さんがすごく賢いなと思いました( 10歳未満 / 女性 )
最後に出てくる1文 そればっかりの ばくりゅうどん がなにか気になって、家族で大笑いしたw 楽しい時間をありがとう( 10代 / 女性 )
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昔、ある山間(やまあい)に一軒(けん)の家があって、男と女房(にょうぼう)とは暮(く)らしていたと。 家の前の道、ときどき、猟師(りょうし)たちが猪(いのしし)だの熊(くま)だの獲物(えもの)を担(かつ)いで通ったと。
「仏様に失礼」のみんなの声
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