民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 面白い人・面白い村にまつわる昔話
  3. 忘れてもう一つ

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

わすれてもうひとつ
『忘れてもう一つ』

― 岩手県 ―
語り 井上 瑤
再話 藤沢 美雄
整理 六渡 邦昭

 むかしむかし、
 あるところに爺(じい)さんと婆(ばあ)さんがいだど。
 爺さんは七十五、婆さんは七十で、どっちも、目もはっきりしていたし、歯も、漬物ぱりぱりと食っていで、まだまだ達者(たっしゃ)だったど。

 
忘れてもう一つ挿絵:福本隆男

 あるとき、村の長者どのが、爺さん聞いたど。
 「爺さん、達者でなによりだなっす。目と歯は大丈夫っすが」
 「はい、目も歯もこのとおり、まだまだ若者には負けねがんす。ただ、もの覚えの方が、少しうすくなりやんした」


 爺さん、シワだらけの顔をニコニコどさせで言ったど。したら長者どの、
 「ははぁ、もの覚えが悪くなったのすか。孫の名前でも、ちょっとド忘れすることがあるのすかぁ」
と聞いだ。
 
 そしたら、そばにいた婆さんが、
 「いやいや、そでねがんす。
  爺さんなっす、わしの布団(ふとん)から出はった思うと、今の今までやったこと忘れで、またのこのこ這入(はい)ってくるのでがんす。このごろめっきり忘れっぽくなりやんした」
といったど。
 どんとはらい。

「忘れてもう一つ」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

楽しい

夜の話だったw( 40代 / 女性 )

楽しい

二人ともお達者すぎる!( 30代 / 男性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

熊になった兄弟(くまになったきょうだい)

むがすむがす、あるどこに太郎と次郎がいであったど。ふたりとも怠け者(なまけもの)で、さっぱり稼(かせ)がね。親が残してくれたものを、あれを売り、これ…

この昔話を聴く

雲取仁左衛門(くもとりにざえもん)

 昔、あるところに大泥棒(おおどろぼう)がいて、たくさんの手下をかかえて、西から東まで各地の大店(おおだな)を襲(おそ)っておった。

この昔話を聴く

小座頭大座頭(こざとうおおざとう)

 昔、あるところに貧乏な爺(じい)と婆(ばあ)がいたと。  歳(とし)とりの晩(ばん)に、小さな座頭(ざとう)どんが戸を叩(たた)き、  「今晩(こんばん)だけ泊めてくろ」 というた。

この昔話を聴く

現在886話掲載中!