爺様と婆様の話し方が面白い( 10歳未満 / 男性 )
― 岩手県 ―
語り 井上 瑤
採集 丸山 久子 / 佐藤 良裕
整理 六渡 邦昭
昔、あったず。
ある所ね、爺様(じさま)と婆様(ばさま)あったず。
その家の裏(うら)に大き木ぃあったず。
あるとき、又八(またはち)ず人ぁ来て、
「家の裏にある、けやき売(う)れ」
たへで、婆様、
「良(え)え」
て、売るごどねしたず。
爺様、年とって耳ぁ聞けながったずども、木ぃ、ぎゃりぎゃりど転んで、どつんと地響(じひびぎ)ぁしたへで、
「婆、婆、今の地響ぁ、何の音でぇ」
たへで、婆様、家の裏の方指さして、
「木ぃ売った」
挿絵:福本隆男
でば、
「なんの木ぃ売ったぁ」
たへで、婆様、我のわきの下の毛一本抜(ぬ)えで、火で焼(や)ぇで見せだば、
「ははあ、けやき一本売ったのが。だれさ売ったぁ」
たへで、婆様、流しさ行って、鉢(はち)持って来て、爺様の前さ伏(ふ)せて、それ、またいで見たへだば、
「ははあ、又八さ売ったのか、なんぼね売ったぁ」
たへで、指二本出したば、
「二百両がぁ」
たへで、小指二本出したば、
「二十両がぁ、なんでそったね安ぐ売ったぁ、又八にだまされで安ぐ売ったな」
たへで、婆様、ぐるっと腰巻(こしまき)めくって尻(けつ)出して、爺様さ突き出したば、
「ははぁ、そうだったか。木ぃに洞(ほら)入ってらったのが。へでぁ安いはずだ」
たず。
これでどっとはれぇ。
爺様と婆様の話し方が面白い( 10歳未満 / 男性 )
昔、あるお寺に和尚さんと小僧さんがおったと。 和尚さんは毎晩餅(もち)を囲炉裏(いろり)で焼いて食べるけんど、小僧さんにゃ、ちっともやらんので、小僧さんは、どうにかして餅を食べる工夫はないもんかと思案しちょったそうな。
「爺様と婆様の話」のみんなの声
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