民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 世間話にまつわる昔話
  3. 酸漿

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

ほおずき
『酸漿』

― 岩手県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 昔、ある旅人が山の中を旅していて、一軒の家を見つけてそこに宿(やど)をとったと。
 翌朝、起きて畑を見たら、美しい酸漿(ほおずき)がたくさん紅(あか)く実(みの)っていたので、それをひとつ取って、中の種を出して口(くち)にふくみ、プリプリ吹き鳴らしていた。
 
酸漿挿絵:福本隆男

 
 それをその家の人が見つけて、ひどく驚(おどろ)き、
 「お客様(おきゃくさま)は大変な事をしてしまった。
 きっと今に大変な罰(ばち)が当る」
というて顔色を変えたと。
 旅人も心配になって、
 「それはまた、どうしてか」
と聞くと、家の人は、
 「お日様は毎日、東から出て西へお沈(しず)みになるが、そのお日様は夜になると地の下を潜(もぐ)ってこの酸漿の中へひとつひとつお入りになる。それで、こんなに色が紅くなるのだ。
 酸漿は、お日様の赤ン坊だから。
 お客様は、お日様の赤ン坊を食べたのだ」
と、こういうたと。

 どっとはらい。 

「酸漿」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

福の神になった貧乏神(ふくのかみになったびんぼうがみ)

むがし、むがし。ある村さ、若げ夫婦者がいだったと。 そごの家には、昔から貧乏神(びんぼうがみ)が一人、ずっと住んでいだったと。

この昔話を聴く

因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)

昔々、因幡(いなば)の国に白い兎がいたそうな。毎日浜辺にやって来ては、「何とかして、海渡って向こう岸さ行ってみてえなあ。んだげんども俺(お)ら泳がん…

この昔話を聴く

野川の要三と鹿の毛皮(のがわのようぞうとしかのけがわ)

高知県安芸郡北川村(こうちけんあきぐんきたがわむら)の野川に、要三(ようぞう)といって、とっぽこきの面白い男がいた。明治の頃に生きて、かずかずのとっぽ話をふりまいて今に語り継がれている。とっぽ話というのは、ほら吹き話のことでこれもそのひとつ。

この昔話を聴く

現在886話掲載中!