民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 伝説にまつわる昔話
  3. 上州のデーラン坊

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

じょうしゅうのでーらんぼう
『上州のデーラン坊』

― 群馬県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 昔、昔、大昔、そのまた昔があったと。
 上州の信州境(ざかい)に、デーラン坊という大男がおったと。
 どんなに大きい男かというと、上州の妙義山(みょうぎさん)から、信州の浅間山(あさまやま)までひとまたぎするほどの大男だったと。
 それだけに食事の仕方がものすごい。
 いつも浅間山の噴火口(ふんかこう)に大鍋をかけて、木でも草でも片っぱしからひっこ抜いてはぶち込み、その音で驚いて逃げ出す兎(うさぎ)や猪(いのしし)や熊(くま)なんぞを、これまた片っぱしからつまんでは鍋にほうり込んで、グッツグッツ煮て食べるんだと。箸(はし)は枝をはらった杉の木二本、指の間にはさんだっちゅうぞ。
 腹いっぱいになると、妙義山のそばの荒船山を枕にして、足の裏を浅間山の噴火口であぶりながらいい気持で寝るんだと。


 ところが、このいびきの音がまたなんと、大雷が空いっぱい絶えず暴れまわっているようで、上州と信州の百姓はすこしも眠れん。
 朝になって、デーラン坊が起きがけにひとつくしゃみをすると、上州の百姓家が千戸も万戸もいっぺんに空へ舞い上ったっちゅうぞ。

 あるとき、このデーラン坊が、
 「むううん」
と、寝返りを打ったから大変。浅間山の噴火口にかけておいた大鍋をけとばしてしまった。
 とたんに、ぐわぁっと恐ろしい音がして、上州も信州も一面に灰かぐら。浅間山の灰が何メ―トルもふたつの国に積もったのは、このときだそうな。

 おまけに鍋の中の汁と中味が恐ろしい勢いで信州側(がわ)へこぼれてしまった。このために信州側では草も木もすっかり枯れてしまって、何百年も生えなかったと。


 今、信州の塩つぼ温泉などが塩っぱいのは、このときの汁が土にしみこんで、今もって出てくるからだそうな。

 これっきり。

「上州のデーラン坊」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

瓜姫(うりひめ)

 むかし、むかし。  あるところに爺と婆があったそうな。  爺は山へ芝刈りに、婆は川へ洗濯に行ったと。  婆が川で洗濯をしていたら、  〽 ドンブリコ ドンブリコ    バアサン オクニチ トンビロ って、瓜(うり)が流れてきたそうな。

この昔話を聴く

蛸配り帳(たこくばりちょう)

むかし、新潟県の佐渡島では、ときどきとてもつもなく大っきな蛸が浜辺にあがってきては、馬にからみついたりして、悪さをしたそうな。あるとき、大佐渡の男が馬をひいて相川という賑やかな町まで買い物に出たと。

この昔話を聴く

人消し草(ひとけしぐさ)

むかし、むかし。あるところに、爺さまと婆さまが住んでおった。爺さまが隣村へ用たしに行った帰り、山道を歩いていると、むこうから一人の旅人がやってきた。

この昔話を聴く

現在884話掲載中!