民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 頓知のきく人にまつわる昔話
  3. 枇杷の種糞

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

びわのたねぐそ
『枇杷の種糞』

― 福岡県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかし、あるとろに和尚(おしょう)さんと小僧(こぞう)さんとが居(お)ったと。
 そのお寺に大きい枇杷(びわ)の木があって、毎年うんとこ実がなるのだと。
 ところが和尚さんは欲(よく)んぼうで、自分ばっかり食うて、小僧さんにはちいっとも食わせないのだと。
 それで小僧さんは、いつか和尚さんの留守(るす)の時に食うてやろうとねらっていたと。

 
 ある日、和尚さんは檀家(だんか)の法事(ほうじ)に呼ばれて出掛(でか)けたと。
 この留守に小僧さん、枇杷の木に登って、熟(う)れた実を腹いっぱい食うたと。種(たね)をそこいらに捨(す)てたらすぐにばれるので、どこか遠くへ捨てようと思って袂(たもと)の中へ入れておいたと。
 そうしたら、和尚さんが酒に酔(よ)うて、よろよろしながら帰って来て、お座敷に寝てしまったと。小僧さんが、
 「和尚さん、和尚さん」
と、いっくら呼んでも高いびきでびくともせん。その寝姿を見ているうちに小僧さん、いいことを思いついた。
 「うん、こりゃいい」
言うて、和尚さんの着物のすそをはぐって、枇杷の種を尻(しり)の穴(あな)に押(お)し込(こ)んだと。
 それから、枕元(まくらもと)へ枇杷の食いかすやら、何やら、いっぱい散らかしておいたと。

 
 しばらくして、和尚さんは目を覚(さ)ました。ところが、周囲(まわり)には枇杷の食いかすやらなんやら、いっぱい散らかっておる。和尚さん、
 「さては、小僧のやつのしわざじゃな」
言うて、うんとおこってやろうと思うて、
 「小僧、小僧」
って呼んだと。そして、
 「こら、小僧、お前は、わしが寝入(い)っとる間に、枇杷をなぜ食うた」
と怒鳴(どな)ったと。そしたら小僧さん、
 「いーえ、私しゃ食うちゃおりません。和尚さんが酔うて帰って来て、枇杷を食いたいからもいで来い、言われたので、もいで来ましたところが、和尚さんは種ごと食うてしまわれ、私にはひとつも食わせなさらんじゃった」
と、言うた。
 
 和尚さんは、
 「いいや、わしは食うた覚えが無い。自分が食うといて、わしにかこつけておるんじゃ」
と、いよいよおこったと。


 したが、小僧さん、ちょっとも負けとらん。
 「いいえ、和尚さんが食うた。和尚さんは種ごと食うた。嘘(うそ)か本当か、ウンコをすればわかる」
と、言うた。
 和尚さんは、はなっから小僧さんが嘘をついてると思うとるから、
 「うーん。それがよい。さあ競(くら)べてみよう」
と言うて、庭に下り、二人でウンコくらべをしたと。
 そしたところが、和尚さんの尻から、ふるふるっと言うて、枇杷の実の種がいくらでも出てきたと。
 
 この勝負、和尚さんの大負けにおわって、それからは、小僧さんにも枇杷の実をちいっとは食べさせてくれるようになったと。
 
  それぎんのとん。

「枇杷の種糞」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

驚き

おしょうさんが、さいご、おしりのあなから、びわの、たねが、でてきて、おもしろかったです。あと、おしょうさんが、くいしんぼうのと、よくばりしていて、びっくりしました。おもしろかったです。またよみたいです( 10歳未満 / 女性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

猫絵十兵衛(ねこえじゅうべえ)

むかし、あるところに猫絵十兵衛(ねこえじゅうべえ)という飴(あめ)売りがおったそうな。十兵衛は猫の絵を書くのが大層うまくて、画かれた絵の猫は、どれも…

この昔話を聴く

椀貸淵(わんかしぶち)

利根川(とねがわ)の上流、群馬県は老神温泉(おいがみおんせん)の近く、追貝(おっかい)というところに一筋(ひとすじ)の川が流れている。名を片品川(か…

この昔話を聴く

泥棒狐と熊の尾っぽ(どろぼうぎつねとくまのおっぽ)

むかし、あるところに悪知恵の働く狐がおったと。ある冬の寒い日、狐は腹を空かせて、どこかに食べる物はないかと探し探し川辺りまで来たと

この昔話を聴く

現在886話掲載中!