民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 面白い人・面白い村にまつわる昔話
  3. 人のいいお湯屋

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

ひとのいいおゆや
『人のいいお湯屋』

― 千葉県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかし、むかし、卵と皿と笊(ざる)と炭と味噌と徳利(とっくり)がいたと。
 ある日、そろってお湯屋に行った。
 久し振りにお湯に入った。卵と皿と笊と炭と味噌と徳利は、すっかりいい気分になり、一列に並んでぞろぞろとお湯屋を出ようとした。
 すると、お湯屋の番台から番頭が、
 「お前さんたち、ここは銭湯だから、湯銭(ゆせん)を払ってくんな」
というた。
 すると先頭にいた卵が、のっぺりした顔で
 「番頭さん、おらぁタマに来て、つるんとつかっただけだものいかっぺ」
というて、出て行った。 

 
 次の皿は、
 「おらぁも、さらさらっとつかっただけだもの、いかっぺ」
というた。
 続いて笊は、
 「おらぁも、ザァッとしか入らねかった。だから今日はいかっぺ」
というて、出て行った。 

 番頭が次の炭の前に手を出すと、炭は、
 「お湯が混んでいたからよ。おらぁスミへ入っていたから、いかっぺ」
というて、番頭の手をくぐって出ていったと。
 残った味噌は、
 「おらぁミソカに払うから、いかっぺ」
というたら、番頭は「ミソヅケ」というた。
 終(しま)いの徳利が出ようとしたら、番頭が、
 「お前(め)はとっくりつかっていたから、湯銭を払うんじゃろな」
というたら、徳利は
 「あとでオカンが払いに来るから、いかっぺ」
というて、みなみな逃げてしもうたと。

 まずまずいちがさかえた。

「人のいいお湯屋」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

柿売りと婆さん(かきうりとばあさん)

 むかし、あるところに爺(じい)さんと婆(ばあ)さんがくらしていた。  ある日のこと、婆さんが家の井戸端(いどばた)で畑から採(と)ってきた野菜を洗っていたら、男の人が垣根(かきね)の向こうから声をかけてきた。

この昔話を聴く

地蔵さまと爺婆(じぞうさまとじじばば)

とんと昔。ある村に爺さまと婆さまが暮らしてあった。婆さまが木綿(もめん)の布を織り、爺さまが町へ売りに行っていたと。

この昔話を聴く

浜千鳥女房(はまちどりにょうぼう)

昔、沖縄県のある海辺りに若い夫婦が住んでいたそうな。女房は、毎日漁船(ぎょせん)から魚(さかな)を受け取って、それを市場に行って売る、夫は、家の仕事…

この昔話を聴く

現在884話掲載中!