民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 動物の恩返しにまつわる昔話
  3. 朝顔と蛇

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

あさがおとへび
『朝顔と蛇』

― 青森県 ―
語り 井上 瑤
再話 能田 多代子
整理・加筆 六渡 邦昭

 昔、あるお寺(てら)に一人の和尚がいた。
 あまり裕福(ゆうふく)でもないので小坊主(こぼうず)も置(お)けないから、一匹(いっぴき)の蛇(へび)をあずかって置いた。
 
 いつも外出(がいしゅつ)するときには、蛇に今出て行くと告(つ)げるし、帰って来れば、また帰ったと言う。
 蛇はいつも入口のところで番(ばん)をして、首(くび)を長くして和尚の送(おく)り迎(むか)えをしたと。和尚も蛇を大変可愛(かわい)がっていたと。

 
朝顔と蛇挿絵:福本隆男

 
 ある夜、和尚は外出から帰って来て、何の気なしに黙(だま)って潜戸(くぐりど)を開けて入った。蛇はいきなり脛(すね)に噛(か)みついた。
 和尚は驚(おどろ)いて、
 「蛇、蛇、おれだ」
と言うた。
 蛇はすぐに放(はな)したが、その噛みあとは大層(たいそう)痛(いた)んだと。和尚は、
 「蛇、蛇、おめに噛まれたところァ、痛くて困(こま)る。何薬(なにぐすり)つけたら良(え)がなぁ」
と聞(き)いた。
 すると蛇はどこかへ行って見えなくなった。

 
 次の朝、和尚が起きて見たら、土間(どま)の上り場のところへ朝顔(あさがお)のつるがたくさん置いてあった。そして、その傍(そば)で蛇が死んでいた。
 「これをつけろということだなぁ」
と言うて、和尚が朝顔を煎(せん)じて傷口(きずぐち)につけたら、噛傷が治(なお)ったと。
 蛇は、蛇には朝顔が毒(どく)だと知(し)っていながら朝顔のつるをとってきたと。
 そのことを知った和尚は、蛇塚(へびづか)を建(た)てて、供養(くよう)したと。 
 
  とっちぱれ。

「朝顔と蛇」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

悲しい

ヘビが、ぎせいになってもきずおなおしたいきもちがつたわりました。( 10歳未満 / 男性 )

感動

蛇健気です。ガチャピンみたいな癒し系の蛇ですね( 30代 / 女性 )

悲しい

蛇くん...( 10代 / 女性 )

もっと表示する
感動

蛇のことを見直しました。。。

感動

自分が死んででもおしょうさんを助けたのが感動しました。( 10歳未満 / 男性 )

感動

ヘビいいやつ( 10代 / 女性 )

悲しい

ヘビって怖いものかと思ったら… ( 10代 / 女性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

旅人と虎と狐(たびびとととらときつね)

むかしあったけど。ある夏の日盛(ひざか)りに、旅人(たびびと)が道をとぼとぼ歩いて行くと、檻(おり)に入った虎(とら)がいたっけど。知らんぷりして通…

この昔話を聴く

亀の恩返し(かめのおんがえし)

 昔、ある家の亭主(ていしゅ)が、  「頭が痛(いた)い、頭が痛い」 といって寝(ね)ていると、近所の人が来て、  「亀の生血(いきち)を飲んだら治るだろう」 と、教えてくれた。  そこで、家の者が八方手配りして、海亀(うみがめ)を一匹捕(と)って来たそうな。

この昔話を聴く

座頭の木(ざとうのき)

昔、あったずもな。あるどこに川の渡守(わたしもり)居てあったど。その年、うんと雨降って、洪水出て大変であったど。洪水のあと、渡守り、流れてくる木を拾…

この昔話を聴く

現在886話掲載中!