民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 動物の争いにまつわる昔話
  3. 狼の忘恩

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

おおかみのぼうおん
『狼の忘恩』

― 秋田県南秋田郡 ―
語り 井上 瑤
再話 今村 泰子

 むかし、あったと。
 あるとき、狼、のどさ骨(ほね)ひっかげて苦しんでいたけど。
 「ああ、せつねゃ。だれか、この骨抜いで呉(け)だら、うんと良(え)え物呉(け)るぞ。ああ、だれか頼(たの)む。」
て、狼、ウン、ウンうなって、しゃべったど。
 それ見だ鶴(つる)、かわいそうだと思って、くちばしを狼ののどさ入れて、骨こ抜いでやったど。したけ、狼、ありがとうともしゃべねゃで、

狼の忘恩挿絵:福本隆男

 「やい鶴め、おれののどさくちばし入れたどき、パクリと食われなかったごと、ありがてく思え」
て、しゃべったど。
 「なんとわがままで、恩知らずの狼だべ」
て、山のけだものたち皆そう言って、おこったと。
 それがら、そのあと、狼が病気で苦しんだとき、誰も知らね顔(つら)して、助けなかった。
 狼は死んでしまったと。
 とっぴん ぱらりのぷう。

「狼の忘恩」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

お清ぼたん(おきよぼたん)

昔(むかし)、京の都(みやこ)で源氏(げんじ)と平家(へいけ)が戦(いくさ)をしていた頃(ころ)のこと、信濃(しなの)の山あいの小さな里に、傷(きず…

この昔話を聴く

雪ん子(ゆきんこ)

昔、あるところに子供のいない夫婦がおったそうな。二人は毎日毎日お宮(みや)さんへお参りしては、「どうか、子供をお授けくだはりますように」と願かけをし…

この昔話を聴く

貧乏神(びんぼうがみ)

昔あるところに一人の貧乏(びんぼう)な男がおった。男は、食う物ぁ食わんとっても、寝とる方がええというほど仕事嫌いだったと。ある年の節分(せつぶん)の…

この昔話を聴く

現在886話掲載中!