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きつねのからまつさん
『狐の唐松さん』

― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
話者 佐藤 祐介
採集・再話 今村 泰子

 昔、あったずぉん。
 あるどごに、弥八(やはち)て云(い)う狩人(またぎ)あったけずぉん。
 あるどき、狐(きつね)捕りに行(え)ったば、穴の中で狐たぢ集まって、相談していだど。
 こっそり聞いでいだば、
 「おうい、お前(め)たち、明日、皆(みな)して村さ、唐(から)松さんをやって行くべ」
 「ンだ。それやるごどにすべ」
て、云ったど。


 弥八、これ聞いで、
 「ようし、明日、皆生捕りにして呉(け)る」
て、家(え)さ戻(もど)って、ふくべ、ずっぱり出して、その中さ狐の好きな油揚(あ)げ入れておいだど。

 次の日になったば、笛吹(ふ)いて、旗(はた)立でて、唐松さんの行列廻(まわ)って来たど。
 弥八、わざと外さ出はって、
 「どうか休んでたんへぇ」
て、家の中さ入れて、酒コ出して、皆どごさ御馳走(ごっつぉ)しだど。

 唐松さんだち、酔(よ)ってしまって寝(ね)てしまったもんで、弥八、ひょうたんふくべの枕(まくら)させたきゃ、狐たぢ、好きな油揚の匂(にお)いするので、頭、だんだんつっこんで、ふくべ被(かぶ)ってしまったど。

 
 akita_050_img_01挿絵:福本隆男

 弥八、そのどぎ、
 「さぁ、いまだ」
て、網(あみ)打って、皆生捕りにしてしまったど。
 
 とっぴんぱらりのぷう。

「狐の唐松さん」のみんなの声

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驚き

今まで聞いたことのないお話で良かった。かたりを聞けるので、方言を使って読むことができて面白い。キツネたちにとっては悲劇のお話になるのに、可哀想さが直接表面にでてこないとんち話になっている。( 女性 )

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