民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 世間話にまつわる昔話
  3. 狐の唐松さん

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

きつねのからまつさん
『狐の唐松さん』

― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
話者 佐藤 祐介
採集・再話 今村 泰子

 昔、あったずぉん。
 あるどごに、弥八(やはち)て云(い)う狩人(またぎ)あったけずぉん。
 あるどき、狐(きつね)捕りに行(え)ったば、穴の中で狐たぢ集まって、相談していだど。
 こっそり聞いでいだば、
 「おうい、お前(め)たち、明日、皆(みな)して村さ、唐(から)松さんをやって行くべ」
 「ンだ。それやるごどにすべ」
て、云ったど。


 弥八、これ聞いで、
 「ようし、明日、皆生捕りにして呉(け)る」
て、家(え)さ戻(もど)って、ふくべ、ずっぱり出して、その中さ狐の好きな油揚(あ)げ入れておいだど。

 次の日になったば、笛吹(ふ)いて、旗(はた)立でて、唐松さんの行列廻(まわ)って来たど。
 弥八、わざと外さ出はって、
 「どうか休んでたんへぇ」
て、家の中さ入れて、酒コ出して、皆どごさ御馳走(ごっつぉ)しだど。

 唐松さんだち、酔(よ)ってしまって寝(ね)てしまったもんで、弥八、ひょうたんふくべの枕(まくら)させたきゃ、狐たぢ、好きな油揚の匂(にお)いするので、頭、だんだんつっこんで、ふくべ被(かぶ)ってしまったど。

 
 akita_050_img_01挿絵:福本隆男

 弥八、そのどぎ、
 「さぁ、いまだ」
て、網(あみ)打って、皆生捕りにしてしまったど。
 
 とっぴんぱらりのぷう。

「狐の唐松さん」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

驚き

今まで聞いたことのないお話で良かった。かたりを聞けるので、方言を使って読むことができて面白い。キツネたちにとっては悲劇のお話になるのに、可哀想さが直接表面にでてこないとんち話になっている。( 女性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

蓮の葉往生(はすのはおうじょう)

むかし、むかし。江戸表(えどおもて)で、蓮の葉往生(はすのはおうじょう)っていう場所が出来たことがあったのヨ。そこへ行けば蓮の花の中に入って、眠るよ…

この昔話を聴く

嫁礁(よめぐり)

能登半島(のとはんとう)一番先っぽに狼煙(のろし)という所があるがの、この狼煙の沖に暗礁(あんしょう)がありますだ。海岸から四里(よんり)ばかりもあ…

この昔話を聴く

火車猫(かしゃねこ)

 むかしあったんですと。  火車猫(かしゃねこ)というのがあったんですと。  火車猫というのは猫が化けたものですが、なんでも、十三年以上生きた猫が火車猫になると、昔から言われています。

この昔話を聴く

現在886話掲載中!