おじいさんはちょっとけちかも~( 10歳未満 / 女性 )
― 秋田県 ―
語り 平辻 朝子
再話 六渡 邦昭
むかし、あるところに爺(じ)さと婆(ば)さとが暮(く)らしておったと。
あるとき、爺さが山へ行ったら、河童(かっぱ)が寝(ね)ていたと。爺さが、
「河童、河童、なして寝てる」
とて起こしたら、河童は、
「あんまり寒くて寝てら。火ぃ焚(た)いてくれたら、宝物呉(け)らあ」
とて、いうたと。
爺さ、良えこと聞いた、と急いで家にとっかえし、火種を持って山さ行ったと。
挿絵:福本隆男
「河童、河童、火ぃ持って来た。あたれ」
とて枯(か)れ木を燃(も)やしてやったと。
そしたら河童が、
「爺さ、これ呉る」
とて、小っちゃな袋(ふくろ)をくれた。
「これさ入ってみれ。爺さの見てぇ町へ、どこへでも行けるから」
とて、ゆうたと。
爺さ喜んで、家に戻(もど)ってひとりで袋に入り、
「大阪さ行きてぇ」
とて、ゆうた。
そしたら、何とも良(え)ぇ町が見えた。
いっぱい、いっぱい見物して、爺さ袋から出たと。
そして、誰(だれ)にも見つからないように寝床(ねどこ)の隅(すみ)にしまって、また、山へ行ったと。
爺さの留守に、婆さが南蛮味噌(なんばみそ)を晩餉(ばんげ)のおかずにしようとて作ったと。
何か入れ物はないかなとて、ゴソゴソ探していたら、寝床で小っちゃい袋を見つけた。
「こりゃ良え、んだどもおかしな袋だな」
とて首傾(かし)げながら、南蛮味噌を入れたと。
晩方になって爺さが帰って来た。
すぐに寝床さ行って袋を探したけど、無(ね)がったと。
「婆さ、婆さ、おれ、寝床さ小さい袋置いてたども、見ねがったか」
とて、顔色変えて訊(き)いたと。
「あや、あれだば、おれ南蛮味噌こしらえたら入れ物無ぐて、それに入れだでや」
「そ、その袋、ここさ早ぐ出せ」
とて出さしたら、味噌(みそ)と唐辛子(からしこ)で汚(きたな)くなってたと。
爺さ、水場で洗(あら)って干(ほ)したと。
干せったら、寝床で袋の口を開けて、
「江戸、江戸、江戸さ行きてぇ」
とて、ゆうたと。
何ぼ、江戸、江戸ゆうても、町らしきものは見えなかったと。
次の朝、山へ行って河童に、
「河童、河童、何も見えねぐなったども、何としたべ」
とてゆうたら、河童が、
「南蛮味噌で流されてしまった」
とてゆうたと。
だから、良(え)ぇ物(もん)あるときは、みんなしゃべって聞かせて置かないと、爺さみてぇに何にも無(ね)くしてしまうっつう事の話だ。
これきって とっぴんぱらりのぷう。
おじいさんはちょっとけちかも~( 10歳未満 / 女性 )
むかし、あるところに貧乏(びんぼう)な爺(じ)さまと婆(ば)さまがおったと。 あるとき、二人が畑で働いていると、空にきれいな虹(にじ)が出た。 「婆さま、あれ見ろや、きれぇな虹だ」 「ほだな、きれぇな虹だなや」 爺さまは、ふと思い出して…
とんと昔、よく物忘れをする長吉(ちょうきち)という男がおったげな。 ある日のこと、畠(はたけ)へ行こうと思うて、鍬(くわ)をさがしたがどこにもない。クワクワクワクワというて探していたら、東から烏(からす)がクワクワクワと啼(な)いて飛んでいった。
むかし、あるところに和尚さんと小僧さんがおったと。ある秋の日、和尚さんと小僧さんが檀家の法事をすませてお寺へ帰る道を歩いていたと。空は晴れとるし、草花は咲いとるし、道端の石に腰かけて、和尚さん一服した。
「河童のくれた宝物」のみんなの声
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