大きい子供帰って来なかったのね… なんだか怖い余韻ですね( 50代 / 女性 )
― 宮崎県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
むかし、ある川の中に一ぴきの河童が棲んでいたと。
ある時、子供達が大勢集まって、川の中に白い小石を投げ込んでその小石を取りあいっこしては遊んでいた。
すると、そこへ水ん中から河童が顔をだして、
「俺(お)れも仲間に入れてくりや」
という。
子供達は、河童が子供の尻子玉(しりこだま)を取って食う怖ろしいやつだと聞いていたので、みんなすきを見て逃げ出そうと思っていた。
ところが、河童は、
「俺れと早よ競べして、勝った者(もん)にゃ、こん魚をくるるわい」
といって、笹の串にさした魚を見せた。
「まこっち、くるるとかい。くるるならやっちみるわい」
こうして河童と子供たちは競争を始めたと。が、何度やっても河童には勝てん。たまりかねた一番大きな子供が、
「よし、今度はおりが河童の相手になっちくるる」
と、小石を深いところへ投げ込んで河童と一緒に川へ飛び込んだ。
子供達はワ―と歓声をあげながら、どっちが早く石を拾って来るかを、かたずをのんで見まもっていた。
しかし、いくら待っても、どちらもあがって来ないんだと。
さあ、子供たちはびっくりして、
「河童にしがみつかれたぁ」
と、大声で叫びながら、家々へ飛んで帰っていった。
たちまち村中は大騒ぎになった。
村人達は、夜になってもかがり火を焚(た)いて川ざらいしとったが、大きい子供は見つからん。
次の日の昼頃も探していると、昨日の河童が、ひょこっと姿をあらわした。
村人達は、いっせいに河童を取り囲みつかまえたと。で、子供をどこへやったと、問いただすと、大きい子供は、泳ぎが達者で、河童の先をもぐっていったが、よくみるとその子が青っ尻だったので、つい、うまそうだと尻子玉を抜いて食っちまった。そしたらその子供は水に流されていっちまった―と白状した。
「こらえて下さい。俺れが悪かった」
と、河童は涙を流しながらあやまったと。
村人達は、
「二度と子供の尻子玉は抜かない、と約束するならゆるしてやる。川の中にある、大きなあの岩が腐るまで悪さをするこっちゃならんぞ」
と言って、河童を放してやったと。
それからというもの、河童はこの約束を守って悪さをしなくなったと。
それでも時々は、この岩に登って来ては、
「こん岩、まだ腐れんじゃろか」
と、いいながら、爪(つめ)の長い水かきのある手で岩を撫でまわしているんだと。
この岩を河童岩ちゅて、川遊びの子供達はここには近づかんように泳ぐんだと。
こりぎりの話
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むかしあったけど。あるところに若い夫婦がいてあったと。夫なる男は大層臆病者で、晩げには外の厠へ一人で小便にも行けないほどだと。妻は夫の臆病を治してやるべとて、夕顔のでっこいのを六尺棒に吊るして門口さ立てておいたと。
「河童岩」のみんなの声
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