夜の読み聞かせで読みましたが、凄く面白くて、楽しかったです。 特に、爺さまが自分の屁の音で目を覚ますのが面白いなと思いました。( 10代 / 女性 )
― 岩手県 胆沢郡 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
昔、あるところに面白い屁をひる爺さまがおったと。
その屁音(へおと)は「だんだっ、だんだっ」と鳴るので、爺さまのことを知らん者が聞くと、「誰だっ、誰だっ」と、まるでとがめだてされているような気になる。それで、爺さまの屁のことを面白がる者と嫌がるものと二通りあったと。
あるとき、長者どのからお使いの者が来て、爺さまに来てくれろと言う。爺さまは、
「はて、おらみてえな屁っこきに何用あるだ」
と思って、使いの者の後(あと)をついて行くと、長者どのは、
「爺、爺、おら家(え)の米倉の番人になってくれまいか、禄(ろく)ははずむぞ」
というた。
思いもよらん仕事にありついた爺さまは、否も応もない。二つ返事で引き受けた。爺さまは、その夜から長者どのの米倉の守(も)り番(ばん)になった。そして戸の前の二畳敷に毎晩寝ていた。
ある夜のこと、長者どのの家に盗人(ぬすっと)が入って来た。そろりそろり米倉に忍び寄ると、暗闇の中からいきなり、
「だんだっ、だんだっ」
と、どなられた。
盗人は、
「いかん、見つかった」
と、きもを冷やして一目散(いちもくさん)に逃げて行った。次の夜も盗人が入ったが、やっぱりその「だんだっ」の声にたまげて逃げ帰った。それから次の晩も、その次の晩もと、ちょうど七夜(や)続けて入ったけど、いつも「だんだっ」ととがめだてされて、とうとう何ひとつ盗み出すことが出来んかったと。
挿絵:福本隆男
「いままでこんなことは一ぺんもなかったのに、どうもいかん。それにしても、あの『だれだっ』という声は何者が出しているのだろう。暗闇からいきなりボガンとなぐりつけられたようで、どうにも面喰らってしまう」
八日目の晩も、盗人は意地になって忍び入ったと。
抜き足差し足そろりそろり米倉に忍び寄って、よくよく見ると、何のことはねぇ、倉番人(くらばんにん)の爺さまの屁っぴり音(おと)であった。
「なんだぁ、いままでこの爺の屁にたまげて逃げ帰っていたのか。よ-し、こん夜は仇(あだ)を討ってやる」
盗人は胡瓜(きゅうり)畑へ行って胡瓜を一本とって来て、爺さまの尻の穴にさしこんでやった。
爺さまの屁は、出口をふさがれて出るに出られん。腹がぷくうっとふくらんだと。
「へん、ざまあみろ」
盗人は屁音がないので安心して米俵を「よっこらしょ」と背負うた。
ちょうどそのとき、寝返りを打った爺さまの尻から、胡瓜がスポンと抜け飛んで、勢いよく盗人の顔に当ったからたまらん。びっくりしたひょうしに、思わず腰をグキッとくじいたと。
「いたたたたぁ」
米俵の下敷きになってバタバタしているところへ、よほどたまっていたのか、
「だんだっ、だんだっ、だんだっ、だんだっ」
と、えらい大きな屁音をひっきりなしにあびせてきた。おまけに、自分の屁音で目をまさした爺さまが、本当に、
「誰だ!」
と叫んだので、盗人はとうとう観念したと。
爺さまは、長者どのからほうびをたんまりもろうたそうな。
どんとはらい、ほうらの貝こぽうぽうとふいたとさ。
夜の読み聞かせで読みましたが、凄く面白くて、楽しかったです。 特に、爺さまが自分の屁の音で目を覚ますのが面白いなと思いました。( 10代 / 女性 )
だんだんだんだんだんだんだんだんだんだんだ! (^○^)
物すごい面白かった( 10歳未満 )
寝る前の読み聞かせに読みました。久しぶりにこどもたちと心から笑いました。( 30代 / 女性 )
どうして普通のおならじゃない音が出るのか、知りたくなった。( 10歳未満 / 女性 )
むかし、あるところに、三人の息子を持った分限者がおったと。あるとき、分限者は三人の息子を呼んで、それぞれに百両の金を持たせ、「お前たちは、これを元手にどんな商いでもええがらして来い。一年経ったらば戻って、三つある倉の内をいっぱいにしてみせろ。一番いいものをどっさり詰めた者に、この家の家督をゆずる」
「屁っぴり番人」のみんなの声
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