最後の最後に化け物とは!(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)( 40代 )
― 広島県 ―
語り 平辻 朝子
再話 六渡 邦昭
むかし、むかし。
ふたりの男が連れだって、茶臼(ちゃうす)山へ登ったそうな。
古い合戦(かっせん)のありさまを話し合いながら、あのあたり、このあたりと眺(なが)めていたが、せっかくここまで来たのだから、大茶臼(おおちゃうす)へも登ろうということになったと。
山径(やまみち)があったり無かったりしたので、とにかく上を目指した。険(けわ)しい所はお互いに引っ張(ぱ)り上げ、押し上げして、ようやく頂上(ちょうじょう)近くまで登ったと。
「もうちょっとだ」
「ひと息いれよう」
ふたりは休み場所を探してあたりを見廻(まわ)した。すると、大っきな岩の下に油紙のような物が広げられてあった。
「うまい具合の物がある」
「誰(だれ)ぞの忘れ物かな」
ふたりがその油紙に腰(こし)を下ろすと、涼(すず)しい風が渡(わた)ってきて、ほてった体に心地いい。手枕(まくら)でごろりと横になったら、うとうとして、いつの間にか眠(ねむ)ってしまったと。
すると、敷(し)かれてあった油紙が端(はし)からめくりあがって、ふたりの男をくるりと包みこんでしまった。
「ややっ」
「あやしいぞ」
ガバッと起きようとしたら、どうしたわけか、身体に力が入らない。
油紙は、ますます強く巻(ま)きついて締(し)めつけてくる。
「むう、こりゃ化け物だ」
「おおっ」
ひとりが、ようやく山刀(やまがたな)を引き抜(ぬ)いて、ずぶずぶと油紙に突(つ)き刺(さ)した。
すると油紙は、ギャッと叫(さけ)んで、ふたりをふるい落とし、風に凧(たこ)が舞(ま)い上がるみたいにひらひら飛んで行ってしまった。
ふたりの男はへたへたとそこへ座(すわ)りこんだと。
これは“のぶすま”という化け物で、人を包んで生き血を吸(す)うのだという。何でも、コウモリが千年経(た)って化けたものだそうな。
けっちりこ。
最後の最後に化け物とは!(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)( 40代 )
生き血を吸うのぶすまに生き血を吸われるだなんて怖い( 10代 / 男性 )
昔々、小さなお城があったと。そのお城に、それはそれは美しいお姫様があったと。夜更になると、毎晩、立派な若侍が遊びに来たと。お姫様のおつきの者は、どうも怪しいと、はかまの裾に針を刺しておいたと。すると若侍は、その針が刺さって血をたらしながら帰って行った。
むかし、吉四六さんが裏の柿の下で薪割りをするためにマサカリを振り上げたら、枝の熟柿が頭に落ちてきたと。てっきりまさかりの刃が抜けて頭に落ちてきたと思うたもんじゃき、「うわぁ、大変じゃ。誰か来ちくりィ。ああ痛え、早う医者を呼んでくりい」と、大騒ぎだと。
「のぶすま」のみんなの声
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