本当に愛していたら、死後は旦那さんの幸せを思い、後妻を迎えることに反対しないはず。でも、狐の仕業と見抜いた周囲の人達凄い。( 40代 / 女性 )
― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
再話 今村 泰子
むかし、あるところに『あくやのしろど』ていう仲の好(え)え夫婦(ふうふ)いてあったと。
して、どっち死んでも七年間は後添(のちぞえ)貰(もら)わねことに約束したわけだ。
したけ、嬶(かか)さんだ人死んでしまったと。お父さん、まんずお母さんに死なれたっけ、たいした不自由で、難儀(なんぎ)してたと。
友達方、毎日、後添えの嬶さん貰えとすすめにくるわけだ。
「なんと、あの嬶とだば、七年間は後添え貰わぬ事に約束してあった」
と、言ったども、あまり友達にすすめられるんてかに、とうとう仕方なく、後妻(あとかか)貰ったわけだ。
それからていうもの、毎晩げ、魂(たましい)来るとナ。
「あくやのしろどは うちにか
七年待てとの お約束 カラン、カラン」
て、来るわけだ。
あまりおっかねくて、おっかねくて、友達さ魂来るとてしゃべったと。
「魂なんて来るもんだてか。きっと狐(きつね)かむじなに相違(そうい)ない」
て、言って、その晩(ばん)げ、皆して待っていたと。
したけ、魂きたわけだ。
「あくやのしろどは うちにか
七年待てとの お約束 カラン、カラン」
て、真白な着物着て来て言うわけだ。
皆どてんしたども。
「それっ」
て、かかっていって、ぶっ殺してしまったと。
して、
「これヒャ、化物だこったば、朝日さ照(て)らせば分かる」
とて、朝日の昇(のぼ)るの酒コ呑(の)んで待って、して、朝日さ照らしたけ、古し狐(きつね)であったと。
それから、魂来ねぐなったと。
とっぴんぱらりのぶう。
挿絵:福本隆男
本当に愛していたら、死後は旦那さんの幸せを思い、後妻を迎えることに反対しないはず。でも、狐の仕業と見抜いた周囲の人達凄い。( 40代 / 女性 )
むがし、父(てで)と母(あば)と子供(こども)の三人居(い)てあったわけだ。 貧乏(びんぼう)で貧乏で、正月来たて食う物なも無(な)ぁふでナ、銭(じぇん)コはだけて、 「今夜年取りだんて、米コ買って来て、飯(まま)炊(た)いて食うど」 どで、その子さ、米買わせに行かせた訳(わけ)だ。
むかし、常陸(ひたち)の国、今の茨城県水海道(みつかいどう)のあたりで、何日も何日も雨が降り続いた年があったと。三月初めのころから降り始めて、四月になっても降(ふ)り止(や)まん。
「あくやのしろど」のみんなの声
〜あなたの感想をお寄せください〜