民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 現代の怪談ばなし
  3. 赤マントやろかー

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

あかまんとやろかー
『赤マントやろかー』

― 東京都 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 創立何十年もたつという古い学校には、必ず、一(ひと)つや二(ふた)つの、こわーい話が伝わっている。中でも多いのが、便所にまつわる怪談だ。今日は、一つ、こわーい話をしてみよう。

 ちょっと昔のこと。
 ある女子(じょし)高等学校で、生徒用便所に妙なうわさがたった。
 入口から三番目の便所に入ると、
 「赤いマントやろかー、青いマントやろかー」という声が聞こえるという。
 そんなわけで、だーれも三番目の便所に入るものがいなくなってしまった。
 掃除の生徒も、ここだけは気味悪がって手をつけない。三番目の便所は、いつしかほこりだらけの荒放題となった。


 あるクラスで、何人かの生徒がこの便所のうわさをしていた。
 すると、一人の生徒が、
 「この世の中にお化けが出るはずがないじゃない。私が行ってお化けの正体を見てくるわ」
といった。クラスメイトたちは、
 「本当にお化けの声がするんだから、やめなさいよ」
と、しきりにとめた。 
 しかし、勝気なその女生徒は、
 「大丈夫よ」
と言い残して、スタスタ、便所へ向って行った。クラスメイトたちは心配になり、そっと後をつけて行った。
 女生徒は、便所に着くと三番目の戸を開けて、中へ入った。
 すると、案の定、
 「赤いマントやろかー、青いマントやろかー」
という声がした。


 女生徒は返事をしなかった。そしたら、また、
 「赤いマントやろかー、青いマントやろかー」
という。


 段々こわくなって返事どころでない。便所の壁に張りついて、歯をガチガチいわしていると、今度は、大きい声で、
 「赤いマントやろかー、青いマントやろかー」
といった。女生徒は、目をつぶって、
 「赤いマントよこせー」
と怒鳴(どな)った。そのあとすぐに、
 「ギャー」
と叫び声をあげた。
 便所の入り口で見守っていたクラスメイトたちは、一目散に逃げ出した。


 事の次第を聞いた体操の男先生が、便所へ行って三番目の戸を開けた。便所の中で女生徒は死んでいた。
 背中にナイフが刺さり、血がべっとりと着いて、まるで、赤マントをつけているようであった。 
 それから、その三番目の便所は釘づけにされ、「あかずの便所」といわれるようになった。

 もし、「青いマントよこせー」と言ったら、血が全部吸いとられ、身体中、青くなってしまうのだそうな。

「赤マントやろかー」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

怖い

こわすぎだろおおおおおお( 80代以上 / 女性 )

楽しい

赤マントやろか がすごく怖かったです。( 10歳未満 / 女性 )

怖い

『赤マントやろかー」がほんとにあったらマジでやばい。

もっと表示する
驚き

血が出る話は怖い!( 10歳未満 / 女性 )

怖い

この話は一度聞いたことがあるけど、やっぱり怖いですね*-*( 10代 / 女性 )

こんなおはなしも聴いてみませんか?

臼売ったもん(うすうったもん)

むかし、あるところにひとりの商人(あきんど)がおった。あるとき商人は、兵庫(ひょうご)の淡路島(あわじしま)へ行ったと。一通り仕事も終え、船着場(ふ…

この昔話を聴く

かっぱと貝殻(かっぱとかいがら)

かっぱはいたずら好きで、よく夜になると馬小屋にしのびこみ、馬がへとへとになるまで乗りこなすそうな。馬が疲れてくると、その馬の尻尾(しっぽ)をしばって…

この昔話を聴く

親棄と打出の小槌(おやすてとうちでのこづち)

昔、あるところに婆様と伜(せがれ)とがあったと。その伜が年頃になったので、隣村から嫁(よめ)をもらったと。

この昔話を聴く

現在886話掲載中!