結末がまったく予想できなかった! ( 男性 )
                                ― 新潟県 ―
                                
                                                                                                                                                        語り 井上 瑤
                                                                                                                                                                                                                                            再話 六渡 邦昭
                                                                                                                                                                                                                                                                    
                            
                             ざっと昔があったてや。
 あるところに、でこ鼻と、手長と、足長の三人がおったと。
 でこ鼻はでっかい鼻をしてるし、手長はばかに手が長いし、足長は足が人の何倍もあったと。
 あるとき、三人でお伊勢参りをしたと。米山薬師の所まで来ると、見晴らしがいいので一休みしたと。
 でこ鼻が、
 「おう、こらええ気持ちだ。酒でも呑みたいな。足長、お前、一っ走(ぱし)り走(はし)って酒買ってこいや」
というたら、足長は長い足で長岡(ながおか)の町まで酒買いに走った。一反(いったん)の田圃(たんぼ)もひとまたぎで、あっというまに買って戻ったと。 
                            
                
 
 そしたら今度は、手長が長い手を小千谷(おじや)の海まで伸ばして、魚をとってくれた。
 三人は酒呑んで、ごっつぉ食べて、ぐっすり寝入ったと。
 しばらくたって、一番先に目を覚ました足長が、でこ鼻の鼻の穴をのぞきこんで、
 「なるほどでっこい鼻だ。ちょいと隠れてやろか」
というて、鼻の中にずんずん入っていったと。
 でこ鼻は、鼻がくすぐったくて、ハックションって、くしゃみをしたと。それがあんまりでっかい音で、手長が目を覚ました。 
 「どうした、でこ鼻」
 「俺れの鼻ん中で何かが動きまわっているような・・・ハッ、ハッハックショ―ン」
 「おれが捜してみるべ」
 手長がその長い手をでこ鼻の中に入れてさぐっていたら、中にいた足長が面白がって、手長の手を踏みつけたと。
        
                            
                            
 「あいたたたぁ、どうやら、足長が中にいるようだなぁ。ひとつ呼んでみるべか」
 「ああ、そうしてけろ、どうにもこうにもくすぐったくって・・・ハックショ―ン」
 手長がでこ鼻の鼻の中に頭を入れて
 「おうい、足長よ―、おめ、そんなところで何しとるや―」
といった、
 「おう、おら―、煙草(たばこ)を刻(きざ)んどる最中(さいちゅう)だぁ一ぷくしたら出て行く―」
と返事がかえって来たと。
 「お、俺の鼻ん中で火ぃつけられたらたまらん。手長よ、何とかしてくれ」 
 「と言われてもなぁ・・・、
 おうい足長よ―、中で火ぃつけても大丈夫(だいじょうぶ)かや―」
 「なんの火ぃぐらい。でこ鼻の鼻ん中には千軒の町があるすけぇ」
 「お、おい、でこ鼻、足長があんなこと言うてるが本当かや」
 「まさか、いっくら俺の鼻がでっかいったって、そんなことはねぇ」
                            
                
 「おうい足長ぁ、嘘(うそ)こくでねぇ―」
 「なんの嘘なもんかぁ、嘘だと思うなら出して見ろや―」
 「よろ―しっ」
 手長が両手をぐ―んと鼻ん中にさし入れて改めてさぐってみると、確かに何かあり気なようすだ。 
 力を込めて、ずるり、ずるり引っ張り出したら、何と、本当に千軒の町が出て来たと。
 それが、今日の柏崎(かしわざき)の町だったと。
 でこ鼻は驚くやら、得意になるやら、
 とても参らば米山薬師
 花の柏崎 目の下だ
 と歌ったと。
 いちご栄え申した。 
        
                            
結末がまったく予想できなかった! ( 男性 )
俺やん こんなこともあったなー
むかし、むかし。ある国にとても厳しいきまりがあったと。六十歳になった年寄りは、山へ捨てに行かなければならないのだと。その国のある村に、ひとりの親孝行な息子がおった。母親が六十歳になったと
むかし、あるところに旅商人の小間物売りがおったと。 小間物売りが山越(ご)えをしていたら、途(と)中で日が暮(く)れたと。 あたりは真っ暗闇(やみ)になって、行くもならず引き返すもならず途方に暮れていたら、森の奥(おく)に灯りが見えた。
「でこ鼻と手長、足長」のみんなの声
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