福禄寿の顔が長くて家の中におさまらないという発想の面白さ( 60代 / 男性 )
― 熊本県 ―
語り 井上 瑤
再話 木村 裕章
昔、七福神(しちふくじん)さんの一人の福禄寿(ふくろくじゅ)さんが、一間四角(いっけんしかく)の小まか家を建(た)てて、昼寝(ひるね)をしとったが、頭が長かけん、頭半分が家から外さん出とった。
ちょうどそのとき、下ん道ば商人(あきんど)が通って、
「ほう、むごう太か南瓜(かぼちゃ)のある。一丁(いっちょう)買(こ)うて戻ろうばい。おーい、そこの南瓜は幾(いく)らかい?」
てたずねたら、福禄寿さんな、寝呆(ねぼ)けち、
挿絵:福本隆男
「そこの坊主(ぼうず)は誰か?」
聞こえたけん、寝たまま、
「フクロクジュ」
って答えらした。
「なんてや?百六十てや、そら高か。も少し、まからんか?」
て商人がいうた。
福禄寿さんな、
「曲がらんか」
て聞こえたけん、
「曲がらんけん出しとる」
ていわした。商人な、
「まからんなら買わん」
ちうて、行ってしもうたげな。
そればっかりのばくりゅうどん。
福禄寿の顔が長くて家の中におさまらないという発想の面白さ( 60代 / 男性 )
むかし、むかしあったげな。 ある旅の商人(あきんど)が大けな荷物を肩(かた)にかついで、丸太の一本橋の上を渡(わた)ろうと思いよったら、向こうからもひとりのお侍(さむらい)が渡りょったげな。
むかし、あるところに商人の番頭さんがおったと。「俺もそろそろ嫁ごを貰わんとならんが、どうせ貰うんなら美しい嫁ごが欲しいものだ」そう考えて、毎日毎日、あちらこちらと商売に行っていたら、あるところで、「惚れ薬」があるという耳よりの話を聞いたと。
「福禄寿」のみんなの声
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