― 高知県 ―
語り 井上 瑤
記録 坂本 寿
整理・加筆 六渡 邦昭
出典 「土佐の民話」第74号
土佐民話の会
とんと昔、よく物忘れをする長吉(ちょうきち)という男がおったげな。
ある日のこと、畠(はたけ)へ行こうと思うて、鍬(くわ)をさがしたがどこにもない。クワクワクワクワというて探していたら、東から烏(からす)がクワクワクワと啼(な)いて飛んでいった。
挿絵:福本隆男
長吉は、
「ああ、そうそう、昨日、東の畠へ行っちょったけに、東の畠へ忘れて来ちょる」
と思い出して鶏小屋(にわとりごや)へ行った。そして、
「こりゃ鶏、おんしゃあ、毎日餌(えさ)をやるよるのに、ひとつも役に立たん。あの空、飛ぶ烏を見よ。ただの一度も餌をやったことが無いに、おれが鍬をさがしよりゃ、ある所をちゃんと言うてくれる。おんしゃ、なんちゃ役に立たん」
というた。そしたら、おんどりが、
「トッテコーカー」
という。
挿絵:福本隆男
庭の口におった猫が、それを聞いて、
「インニャア」
と言うたげな。
むかしまっこう 猿まっこう。
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昔々、小さなお城があったと。そのお城に、それはそれは美しいお姫様があったと。夜更になると、毎晩、立派な若侍が遊びに来たと。お姫様のおつきの者は、どうも怪しいと、はかまの裾に針を刺しておいたと。すると若侍は、その針が刺さって血をたらしながら帰って行った。
「烏と鶏と猫」のみんなの声
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