民話の部屋 民話の部屋
  1. 民話の部屋
  2. 言葉の聞き違い・言葉遊びにまつわる昔話
  3. 烏と鶏と猫

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。

からすとにわとりとねこ
『烏と鶏と猫』

― 高知県 ―
語り 井上 瑤
記録 坂本 寿
整理・加筆 六渡 邦昭
出典 「土佐の民話」第74号
   土佐民話の会

 とんと昔、よく物忘れをする長吉(ちょうきち)という男がおったげな。

 ある日のこと、畠(はたけ)へ行こうと思うて、鍬(くわ)をさがしたがどこにもない。クワクワクワクワというて探していたら、東から烏(からす)がクワクワクワと啼(な)いて飛んでいった。

 
烏と鶏と猫挿絵:福本隆男

 長吉は、
 「ああ、そうそう、昨日、東の畠へ行っちょったけに、東の畠へ忘れて来ちょる」
と思い出して鶏小屋(にわとりごや)へ行った。そして、


 「こりゃ鶏、おんしゃあ、毎日餌(えさ)をやるよるのに、ひとつも役に立たん。あの空、飛ぶ烏を見よ。ただの一度も餌をやったことが無いに、おれが鍬をさがしよりゃ、ある所をちゃんと言うてくれる。おんしゃ、なんちゃ役に立たん」
というた。そしたら、おんどりが、
 「トッテコーカー」
という。

 
烏と鶏と猫挿絵:福本隆男

 庭の口におった猫が、それを聞いて、
 「インニャア」
と言うたげな。
 
 むかしまっこう 猿まっこう。
 

「烏と鶏と猫」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

長い名前(ながいなまえ)

いどセャ、昔、昔ナ。ある所(どこ)さ婆(ばんば)がまめでいる家(え)コあったどヨ。そごの家さ、めんこいわらすコ生まれだんだどヨ。とごろがセャ、あんま…

この昔話を聴く

菖蒲湯の由来(しょうぶゆのゆらい)

昔々、小さなお城があったと。そのお城に、それはそれは美しいお姫様があったと。夜更になると、毎晩、立派な若侍が遊びに来たと。お姫様のおつきの者は、どうも怪しいと、はかまの裾に針を刺しておいたと。すると若侍は、その針が刺さって血をたらしながら帰って行った。

この昔話を聴く

山梨の怪(やまなしのかい)

むかし、父さと嬶(かか)さと子がおった、嬶さの腹には、また子が出来ていたと。子を孕(はら)むと、口(くち)が変るって、嬶さ急に山梨(やまなし)が食い…

この昔話を聴く

現在886話掲載中!