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おれがおおきい
『おれが大きい』

― 香川県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 とんと昔もあったげな。
 あるところに、片方の羽を拡(ひろ)げると千里、もう片方の羽を拡げるとまた千里ある大きな鳥がいたと。
 われほど大きな生き物はあるまいと思い、大いばりで飛んでいたと。
 飛んでいるうちに太平洋の真ん中あたりでくたびれてきた。ちょうど材木が二本、海の中から出ていたので止まったと。
 休んでいると材木が動いて、下から、
 「わしの髭(ひげ)に止まるやつは誰だ」
と大きな声がした。


 「お前は一体全体何者だ」
  と、鳥が問い返したら、また材木が動いて姿をあらわした。大きな海老だったと。材木と思っていたのは海老の髭だったと。鳥が、
 「われは二千里の大きさだが、お前はどれ位大きい」
と聞くと、海老は、
 「わしは五千里の長さだ」
という。
 鳥は、バッサ、バッサと羽ばたいて元のところへ逃げていったと。

 
 海老はおのれの大きさに気がついて、大いばりで海を泳いで行ったと。
 いくがいくがいくと、くたびれたので海につきでた岩に足をかけて休んだと。
 休んでいると岩が動いて、下から、
 「おれの背中に止まるやつは誰だ」
と大きな声がした。


 「お前は一体全体何者だ」
と、海老が問い返したら、また岩が動いて姿をあらわした。大きな亀だったと。岩だと思っていたのは亀の背中だったと。海老が、
 「わしは五千里の大きさだが、お前はどれ位大きい」
と聞くと、大亀は、
 「おれの体は一万里ある」
という。
 海老はバネみたいにはじけて元のところへ逃げて行ったと。
 大亀はおのれの大きさに気がついて、大いばりで海を泳いで行ったと。 
 
 いくがいくがいくと、くたびれたのでつるんとした小山のような島にあがって休んだと。休んでいると山が動いて、下から、
 「おいらの背中に止まるやつは誰だ」
と大きな声がした。


 「お前は一体全体何者だ」
と大亀が問い返したら、また山が動いて姿をあらわした。大きな蛤(はまぐり)だったと。大亀が、
 「おれは一万里の大きさだが、お前はどれ位大きい」
と聞くと、蛤は、
 「おいらは二万里ある」
という。
 亀は首をひっこめて、元のところへ逃げて行ったと。 
 
 大蛤はおのれの大きさに気がついて、大いばりで海の底をぞろりぞろり這(は)って行ったら浜辺にあがったと。
 なおも這っていたら、小さい女の子が来て、その蛤を拾って籠の中へポーンと投げ入れたと。

 蟻(あり)の目にドングリが入って
 針(はり)で掘っても釘(くぎ)で掘っても取れなかった
 杵(きね)で掘ったらぽーんと取れた。

  

「おれが大きい」のみんなの声

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楽しい

昨日送った感想に追記です、 この感覚をもっと的確に表した言葉(ジャンル)があったようなと考えていたら、ナンセンス絵本とか、多分そういうものが近いと思いました。( 20代 / 女性 )

驚き

面白い。 内容は教訓ぽさもありながら話の流れは全体リズミカルで楽しげであり、ラストは謎かけのようなシュールさと考えさせられる余韻が気に入りました。( 20代 / 女性 )

楽しい

色々あって面白いです  結局誰が一番大きいのか。

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驚き

子どもは大きいのか小さいのか?どっちなんだろう?

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