グリムの「六人男、世界を股にかける」の焼き直しなのでしょうが、話に少し無理がありますね。日本の風車とはどのようなものなのでしょうか。サムライの時代に男が被る帽子とはどのようなものなのでしょうか。全くイメージがわきませんね。
― 岩手県 ―
語り 井上 瑤
再話 平野 直
整理・加筆 六渡 邦昭
むがし、あるところに若い侍(さむらい)があって、戦(いくさ)でえらい手柄(てがら)をたてたども、殿(との)さまはどうしたことか恩賞(おんしょう)をくれなかった。
そこで、浪人(ろうにん)して、武者修行(むしゃしゅぎょう)の旅に出はた。
行くが行くが行くと、幾抱(いくかか)えもあるような大木(たいぼく)を、ミリミリどひき抜いで、根っこごと背負(しょ)って歩いてる力持ちの男に出会った。
「どうだ、俺(おれ)と一緒に修行の旅さ行がないが」
ど誘(さそ)うど、
「はい、お供します」
と、家来(けらい)になって従(つ)いてきた。
また行くが行くが行くと、風もないのに丘(おか)の風車コが、フルフルど廻(まわ)っていた。
挿絵:福本隆男
不思議だとなおも行くと、木の股(また)コさ足をふんまえで、片鼻(かたはな)吹いてる男があった。
何してるのだと訊(き)くと、一里(いちり)先の風車コ廻しているのだという。この男も何がの使い道になる、一緒に行がないが、というと、家来になって従いてきた。
なおもづんづん行くと、鉄砲(てっぽう)で何が狙(ねら)っている男がいた。訊いてみると、
「おれは目の良いごと天下一(てんかいち)で、何でも狙ったら逃(のが)さないという猟師(りょうし)だ。今、蝿(はえ)の目玉を狙っているところだ」
ど言った。それで、この男も家来にした。
行くが行くが行くと、今度は、片足ケンケンで追いついてきた男があった。
「おれは片足ケンケンでは誰(だれ)にも負けない男だ。どうか家来にして呉(け)ろ」
と頼まれたので、その男も家来にして、ひき連れて行った。
また、行くが行くが行くと、帽子(ぼうし)を横被(かぶ)りした男がやってきて、
「おれのこの帽子は、まっすぐに被り直せば、どんな火でも氷にして見せる。おれもお供(とも)させて呉ろ」
と言った。
若い侍は、力持ちと、鼻吹きと、目のよい鉄砲うちの名人と、ケンケンの男と、帽子横被り男の五人を家来にして、旅を続けて行くうちに、ある城下(じょうか)さ着いた。
お城の前には、殿さまの一人娘のお姫(ひめ)さまの婿(むこ)選びの高札(こうさつ)が建っていた。
若い侍が志願(しがん)してお城さ行くと、殿様に、一里半先に走り出しているお姫さまと三里先の泉(いずみ)から水汲(く)み競争をしてみせろと言われた。
若い侍は
「その程度(ていど)のこと、私がやるまでもない。家来で充分(じゅうぶん)」
といい、ケンケンに、
「お前、その足で水を汲んでこい」
と命じた。
挿絵:福本隆男
ケンケンは片足ケンケンでも速いのなんの、姫よりずうっと先に泉さ行き着いて水を汲んだ。姫は、まだまだ来るまいど、途中で昼寝(ね)をしたと。
姫は、ケンケンが昼寝をしている間に、ケンケンの水をぶんまけてから泉へ行き、水を汲んで戻(もど)りを急いだと。
それを、目ききの鉄砲うちが見て、これで勝ち負けが分からなくなったと思うたど。得意の鉄砲の狙いつけて、ケンケンの寝ぶっている木の根っこを撃(う)ったので、ケンケンはびっくりして飛び起きた。ぶんまけられた空の桶(おけ)さ、もう一度水汲んで、ケンケンで走って、とうとう姫に勝ってしまった。
殿さまはそれを見て、
「やぁやぁ、出来(でか)した」
と、下へも置かないもてなしをしてくれたと。六人はすっかりくつろいで、油断(ゆだん)してしまった。殿さまは策(さく)を計(はか)って、六人全員金張(かなば)りの部屋さ押しこめてしまったと。そしてビンと鍵(かぎ)をかけ、表からどんどん火を焚(た)いて、火責(ぜ)めにした。
挿絵:福本隆男
いよいよ焼き殺される段(だん)となったとき、帽子横被りが、
「みんな、案じなくともよい」
どいうで、被っていた帽子を、しゃんと前にかぶり直した。すると、今までむんむん焼けていた部屋は、すぐに涼(すず)しくなって、中で酒盛(さかも)り出来るほどだと。
殿さまは、もう焼け死んだ頃(ころ)だと思うて、部屋の戸を開けて見ると、六人が生きているどころのさわぎでない。皆(みな)、涼しそうな顔をしている。これには驚(おどろ)いたが、さりげなく、
「やぁやぁ、えらい力を持った人たちだ。姫も金もづっぱりやるから、背負(せお)えるだけ持ってって呉ろ」
と言ったど。
そこで、若い侍は、姫などいらぬ。金だけ貰(もろ)うて行ぐ、と大きな袋(ふくろ)を作り、城中の金銀をみんな袋さつめこんで、力持ちに背負わせて、お城を出たと。
ところが、途中(とちゅう)までくると、殿さまは金をとりかえしに軍勢(ぐんぜい)を差し向けてきた。
それを見た片鼻吹きは、おれの出番はここぞとばかりに、追いかけてきた軍勢を馬ごと、片鼻でふんと吹き飛ばしたと。ついでに、この話も吹(ふ)き飛ばしたど。
どんとはらい。
挿絵:福本隆男
グリムの「六人男、世界を股にかける」の焼き直しなのでしょうが、話に少し無理がありますね。日本の風車とはどのようなものなのでしょうか。サムライの時代に男が被る帽子とはどのようなものなのでしょうか。全くイメージがわきませんね。
グリムの「六人男、世界を股にかける」の焼き直しなのでしょうが、話に少し無理がありますね。日本の風車とはどのようなものなのでしょうか。サムライの時代に男が被る帽子とはどのようなものなのでしょうか。全くイメージがわきません。
はな吹きなどがすごい❗️ ( 男性 )
すっごくおもしろい!( 10代 / 女性 )
なんと昔があったと。 むかし、あるところに馬子(まご)があった。 馬を追って、毎日毎日山道を通(かよ)っていたと。 寒うなった頃(ころ)、山向こうの人に頼(たの)まれて、馬の背(せ)にブリをくくりつけて山道を行ったと。
「吹っとび話」のみんなの声
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