― 岩手県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
昔、ある旅人が山の中を旅していて、一軒の家を見つけてそこに宿(やど)をとったと。
翌朝、起きて畑を見たら、美しい酸漿(ほおずき)がたくさん紅(あか)く実(みの)っていたので、それをひとつ取って、中の種を出して口(くち)にふくみ、プリプリ吹き鳴らしていた。
挿絵:福本隆男
それをその家の人が見つけて、ひどく驚(おどろ)き、
「お客様(おきゃくさま)は大変な事をしてしまった。
きっと今に大変な罰(ばち)が当る」
というて顔色を変えたと。
旅人も心配になって、
「それはまた、どうしてか」
と聞くと、家の人は、
「お日様は毎日、東から出て西へお沈(しず)みになるが、そのお日様は夜になると地の下を潜(もぐ)ってこの酸漿の中へひとつひとつお入りになる。それで、こんなに色が紅くなるのだ。
酸漿は、お日様の赤ン坊だから。
お客様は、お日様の赤ン坊を食べたのだ」
と、こういうたと。
どっとはらい。
民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。
「感想を投稿する!」ボタンをクリックして
さっそく投稿してみましょう!
昔、あったど。あるところに雪女がいであったど。 雪女ァ、旅の人ばだまして、殺していだだど。 ある冬の日。 ひとりの男が旅をしていて、沼のあたりまで来たけァ、日が暮(く)れてしまったと。
むかし、土佐藩(はん)のお抱(かか)え鉄砲鍛冶(てっぽうかじ)に五平という人がおったそうな。 五平の鉄砲は丈夫(じょうぶ)な作りと重量感で、今でもよう知られちょる。 ところで北川村の島という所に、その五平の作った鉄砲を持った猟師(りょうし)が住んじょった。
「酸漿」のみんなの声
〜あなたの感想をお寄せください〜