………落語のネタ……だろ?
― 新潟県 ―
語り 井上 瑤
再話 大島 廣志
むかし、あったてんがの。
あるところに、爺(じい)さんがおって、あんまり腹(はら)が痛いもんだから、寺の和尚(おしょう)様のところへ行ったんだと。
「和尚様、和尚様、腹が痛(いと)うてたまらんが、どうしたらいいのかのう」
「腹が痛いのは虫がいるからじゃ。蛙(かえる)を呑めばすぐ治(なお)る」
爺さ、さっそく蛙を呑むと、蛙がみ-んな虫を食うてしもうた。
ところが、腹ん中を蛙が、ぺタラ、ぺタラぺタラ、歩きまわってしょうがない。
また、寺へ行ったと。
「和尚様、和尚様、腹ん中の蛙がぺタラぺタラと歩いて困るが、どうしたらいいのかのう」
「それだば、蛇を呑めばすぐに治る」
爺さ、さっそく蛇を呑むと、蛇(へび)がみ-んな蛙を呑みこんでしもうた。
そうしたら、今度は、腹ん中を蛇が、クラリクラリ、クラリクラリ遊びまわる。難儀(なんぎ)で難儀で、また、寺へ行ったと。
「和尚様、和尚様、腹ん中の蛇が、クラリクラリと遊んで困るが、どうしたらいいのかのう」
「それだば、キジを呑めばすぐに治る」
爺さ、さっそくキジを呑むと、キジが蛇をつつき殺してしもうた。
そうしたら、腹ん中でキジが、ケンケン、バタバタ-、ケンケンバタバタ-と騒(さわ)ぐんやて。難儀で難儀で、また、寺へ行ったと。
「和尚様、和尚様、腹ん中のキジが、ケンケン、バタバタ-と騒いで困るが、どうしたらいいのかのう」
「それだば、狩人(かりゅうど)を呑めばすぐ治る」
爺さ、道で出会った狩人を、パクッと呑むと、狩人が鉄砲(てっぽう)でズド-ンと一発、キジをしとめてくれた。
そうしたら今度は、狩人の鉄砲が胃袋(いぶくろ)ん中で、ゴツゴツとぶつかるんやて。難儀で、難儀で、また、寺へ行ったと。
「和尚様、和尚様、腹ん中で狩人の鉄砲がゴツゴツぶつかるが、どうしたらいいのかのう」
「それだば仕方ねぇ、鬼(おに)を呑まねばだめだ」
爺さ、夜になるのを待って、鬼が出て来たところを、パクッと呑んでしもうた。
鬼は胃袋ん中に入って、狩人を食うてしもうた。狩人がいなくなったので、腹ん中がばか良くなったけれど、今度は、鬼の角(つの)が腹にギリギリ、ギリギリささるんやて。難儀で、難儀で、また、寺へ行ったと。
「和尚様、和尚様、腹ん中で鬼の角がギリギリささるが、どうしたらいいのかのう」
………落語のネタ……だろ?
とてもおもしろい❗️( 10歳未満 / 男性 )
なんてひとだ
なんでいろんなものを飲み込めるのでしょうか… はっ!もしや…じさは化け物なんじゃ…( 10歳未満 / 女性 )
昔、あるところにひとりの婆(ばあ)さんがあった。婆さんは、お年貢(ねんぐ)の頃に上納(じょうのう)する米の計量(はかり)をちょろまかすのがうまくて、役人は困りはてていたと。
昔、あるところに、貧乏な爺さと婆さがおったと。年の暮れになれば、年とり米も年とり魚もかわねばならんので、爺さは毎年山へ行っては門松(かどまつ)を取って来て、それを町へ持って行って、売り歩いておったと。
とんと昔のことたい。筑前(ちくぜん)の国、今の福岡県の福間の里(ふくまのさと)に花見(はなみ)という街道(かいどう)が一本通っておって、その道は、いつでもおさん狐が化(ば)けて出るところじゃったげな。
「セツ ブーン」のみんなの声
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