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きのこのばけもの
『きのこの化け物』

― 新潟県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭

 むかし、あるところに、お宮があったんだと。
 お宮の裏で、毎晩、化け物がいっぱい出て唄ったり、踊ったりしていたんだと。
 この村に、踊りの大好きな爺さまがいて、ある時、
 「その化け物、わしが行って見とどけてくる」
と言うての、夜更けに出かけていった。
 ほしたら、お宮の裏で小人がいっぱい集まって、唄ったり踊ったりしている。
 踊りの好きな爺さまは、初めは隠れて見ていたが、その内たまらなくなっての。
 一緒に踊り始めたと。
 踊りながら、
 「お前ら、何の化け物だ」
 「俺ら、きのこの化け物だ、おめえ何の化け物だ?」 


 「わしは、人間の化け物だ」
 「ほうか人間の化け物か、おめえは、何がいっち嫌いだ?」
 「わしは大判小判だ、おめえらは何がいっち嫌いだ?」
 「俺ら、ナスの塩水だ」
 二言、三言、言葉を交してまた踊っていた、と、ほうしている内に小人達が、大判小判を持って来て、
 「そら怖がれ、怖がれ」
と、爺さまにぶっつけはじめた。 

 爺さまは、
 「おっかね、おっかね」
と、逃げて来たと。
 ほしてナスの塩水を桶にいっぱい作って、ひき返し、
 「ほらナスの塩水だ」
と言いながら小人の頭からジャ―ジャ―かけたんだと。


 ほしたら小人はいつの間にかみんな、どっかへ行って終ったんだと。
 次の朝、爺さまが、お宮の裏へ行ってみたら、きのこがいっぱい、しおれてグダッとしていたと。
 周りには大判小判がいっぱい落ちている。
 爺さまは、それを拾って来て一生安楽に暮らしたと。

 いまがさけたどっぴん

「きのこの化け物」のみんなの声

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